現役消防団員が語る、ブラック消防団・ホワイト消防団の見分け方
自分は現役消防団員として、5年以上活動しております。
台風で冠水した状態での土嚢積みや火事場での第一線で放水、残火処理等、大規模災害以外での対応も行っておりますし、県の操法大会の出場経験もあります。
自分は消防団、少なくとも今所属している分団のことは好きですし、これからもできる限り続けていきたいとは思っています。
ただ、だましうち的に消防団に誘われたり、飲み会や女遊び、操法といった活動が苦手なのに無理やり参加させられたり、パワハラを受けるなどして消防団のことを憎む方が多くいることも知っています。
それらを回避する方法として、現役消防団員が説く、ブラック消防団・ホワイト消防団の見分け方をお伝えします。
現在、消防団に勧誘されている人、消防団に入ってみたい人、Uターン就職等で田舎に帰ってきた人などは一見の価値ありかと思います。
ブラック消防団・ホワイト消防団の定義
まず、ブラック消防団・ホワイト消防団の定義を下記の通りとします。
そもそも消防団自体がクソだと思っている人に関してはこのまま立ち去っていただければいいと思います。
まずブラック消防団の定義から
・本業に支障をきたすほどの訓練(主に操法大会)がある
・パワハラが横行している
・金の流れが怪しい
・皆辞めたがっている
ブラックというよりも違法に近い部分がありますが、残念ながらこのような消防団もないとは言い切れません。
反対にホワイト消防団の定義は下のようになります。
・本業を優先
・団員の仲がいい
・飲み会や夜遊びも自由参加
・報奨金や出動手当が全て自分のものになる
・やっていて楽しい
自分の入っている消防団は上記ホワイト消防団の要件を満たしています。だから私は続けられているんですが。
次からは本題のホワイト消防団・ブラック消防団の見分け方について書いていきたいと思います。
一般的なブラック消防団の見分け方
ここからは一般的なブラック消防団の見分け方について書いていきます。
これらの情報は、幹部研修の一環で他市の消防団幹部とご一緒したときに伺った内容をまとめたものになりますので、手前味噌ですがかなり確度の高い現場の意見と言っていいでしょう。
基本的に田舎の方がブラック
一般論ですが、都会の消防団より田舎の消防団の方がブラック気味であると言えます。
常備消防(つまり消防署)が遠いほど消防団のきつさは比例すると言えます。
田舎は自分たちの村は自分たちで守るという意識が高いです。
その裏返しで、その分前時代的な「ムラ」の感覚で消防団が運営されているところも多いと言えます。
ここでポイントなのが、同じ自治体であっても中心部はホワイト消防団、辺境の集落の消防団はブラックということもままあるということです。
悪名高い操法大会においても中心部の分団は夜週2回練習を数ヶ月やるだけですが、奥地の分団は年明けから早朝3時間、週4回なんてところもあると聞いたことがあります。
あくまで確率論ですが、ホワイト消防団に入りたければできる限り都市部の分団を選びましょう。
若年層が多い分団はホワイト
20代が多い分団はそれだけ中の新陳代謝が盛んな分団であると言えます。
5年ぐらいで卒業する人が多い分団であれば、考え方もアップデートされていきますので、意味不明な慣習等も少ないでしょう。
ただ、若い分元気がいいので操法の練習を部活感覚で元気よく行うところもあるかもしれません。
もっとも、あなたが新しく入団するのであれば、年齢が近い団員の多い分団に入った方が人間関係でうまくいくのは言うまでもありません。
分団ごとにカラーが違うためある程度ガチャ要素もあり
どんなホワイト企業であっても一つはハズレ部署があるように、同じ自治体の消防団であっても分団ごとにホワイトさはそれぞれ違います。
それは分団ごとの長年の慣習であったり、分団長の性格、OBの介入度合いなどでも左右されるものです。
自分の所属する消防団でも、操法に命を賭ける米軍の海兵隊のような雰囲気の分団もあれば、やたら更生した元ヤンが多い分団、さらには日常系アニメのようなまったりした分団もあり、その容態は様々です。
このように同じ自治体の団であっても分団ごとにホワイトさや雰囲気に大きな差があり、ガチャ要素があるといってもいいでしょう。
後述しますが、やはり実情は現役団員に聞いてみるのが一番オススメです。
ブラック消防団に入らないための見分け方
ここからは、現役ならではの視点からブラック消防団の見分け方を伝授します。
操法大会の出場状況を見よう
まずは、都道府県操法大会の出場状況を見ましょう。
それぞれの都道府県のホームページを何年かさかのぼり都道府県の操法大会に出ていないかを確認しましょう。(コロナでここ2年は中止になっているので、3年以上前のデータをさかのぼりましょう)
全く出場していないか、数年おきに出場しているならホワイトめです。毎年出場しているなら少し気をつけましょう、毎年出場し、かつ上位入賞しているならば操法訓練が地獄でしょう(これをブラックと呼んでいいかは悩ましいですが)
報奨金が個人支給かどうかを確認しよう
次に報奨金が個人支給であるかどうかについて確認しましょう。
報奨金とは年に2回ほど市区町村から支給される消防団の給料です。各自治体によって多少の差がありますが、おおむね年間3万円程度が支給されます。
これが、個人の口座に支給されるかが大きなポイントとなります。
消防庁の通達等でも個人支給にするように指導されていますが、今でも分団の会計に入金される自治体もあるようです。
そのような消防団はコンプライアンスに問題を抱えていると言えます。
また、個人支給であっても団員に強制的に口座を作らせ、分団に通帳を提出させられるところもまだまだあるようです。
そのような方法をとっている消防団も同様でしょう。
もっとも、これらの方法をとっている消防団は、現在裁判にもなっているようです。
今後、このような行為を行う消防団はこれからどんどん減っていくでしょう。
現役団員に分団の雰囲気を聞こう
先述の通り、自治体や分団ごとにブラックさや雰囲気は大きく異なります。
消防団に興味があるけどブラックは嫌だ…、そう思っている人はやはり現役団員に聞くのが一番です。
ただ、ここで重要なのは聞く相手を間違えてはいけないということです。
分団長や消防団大好き団員に聞いたら最後、消防団の素晴らしさを熱く語られ、ヘッドロックされて屯所に連行されかねません。
個人的に一番オススメなのが、3年目ぐらいの農協・役場・サラリーマンのおとなしそうな団員に聞くのがいいと思います。
なぜならば、3年ほど経つと消防団のいいところと悪いところがだんだんわかってきますし、サラリーマン団員であれば自営業や農林業の団員よりも一歩引いた目で消防団を見ることができる方が多いからです。
彼らは3年勤めているわけですから消防団は嫌いではないとは思いますが、かといってすべてを投げ売って消防団に身を捧げるわけでもないため、自らの分団や他の分団について比較的フラットな意見を教えてくれるはずです。
ただ、聞いた以上は消防団に興味が有ると取られるわけで、勧誘を受けるかもしれないので内密にこっそりと聞いておくべきです。
総評:コロナ禍で消防団は変革期に入っている、今後5年でホワイト化が進む!
さて、コロナ禍で2年間、満足に消防団の活動が行えておりません。
他市との交流の中でも幹部連中が口を揃えて言うのは、「操法はこのままの形では続けられないだろう」という意見です。
消防団において分団長以上にまで上がる人というのは基本的に操法が好きであり、消防団のことが大好きである人間です。
そのような人間でさえ、今までの消防団のままではいられなくなっていることを実感しています。
これからは、消防団は対災害に向けた質の高い訓練に取り組んでいく方向に舵が切られるのではないかと思います。
また、消防庁からも様々な通達が出されており、会計の健全化や装備の拡充など「正しい」方向へと進んでいくでしょう。
個人的には今後5年ほどでそれまでとは比較にならないほど消防団のホワイト化が進んでいくのではないかと思います。
消防団は地域の人命や安心を守るやりがいのある組織です。
有意義な活動を仲間とともに取り組める、そんな団・分団であればぜひ入団してみていただければと思います。