消防団
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消防団の操法訓練は必要なのか

杉浦かおる
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こんにちは、杉浦かおる(@munenmusou_blog)と申します。

今回は消防団における操法訓練の必要性について現役消防団員、現在班長の自分が書いていきたいと思います。

個人的には原始的な現在の訓練を完全にやめるではないと思いますが、もっと時代に即した訓練に変えていく必要があると考えます。

また、操法大会については原則として廃止するべきであると思います。

時代遅れの操法訓練の比重を減らし、実情に即した内容へと変化させていくのが消防団のこれからのあり方ではないでしょうか。

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操法訓練の中で必要と考えられる部分

身体に動作を叩き込むという必要性

動作を身体に叩き込むという必要性は普遍的に有効であると思います。

実際に自分は火災現場に消防吏員がいない状態で現場を班長として取り仕切ったことがあります。

火災現場に直面すると人間はパニック及び極度の興奮状態になり、何をしたらいいのかわからなくなる状態に陥りかねません。

この場合でも操法訓練で身体に叩き込んだ内容をもとにホースを延長、火点に放水を行うことができました。

後輩に対しても「操法の要領でやってくれ!」と伝えるだけで各団員は作業をしてくれました。

※唯一困ったのは消火栓を探し、固着したマンホールを開けるところでした。

ただし、あくまでも事実上の有償ボランティアである消防団員にそこまでやらすことが果たして必要なのか、やりすぎではないかという問題は別に存在することは確かです。

原始的な訓練は大規模災害時に必要となる

操法訓練は極めて原始的です。

手信号と走っての伝令、ポンプ以外は全て人力で行います。

1970年代からその内容はほとんど変わっていません。

実際の火災現場においてはしっかりとした防火服を着用し、伝令はMCA無線やトランシーバーを用いて行われます。

また出水・洪水などの災害時においてはLINEを活用して団員同士の連絡・コミュニケーションを取っている消防団も多いでしょう。

このため、一見すると操法訓練は時代遅れのように感じられます。

しかしながら、人力に頼る原始的な訓練は大規模災害において役立つでしょう。

トランシーバーも予算的に全ての団員に行き渡っていない現在において、東日本大震災のようにスマホも使えない、電話も通じない状況になった際には最も原始的な手段である人力・手信号によるプリミティブな救助・消火活動が必要となります。

その点において操法訓練はまだまだ捨てたものではないと思います。

操法訓練の中で不要と考える部分

「操法大会」のための訓練に陥っていること

消防団における最大の問題、それは「操法大会」とそれに伴う負担です。

操法大会のための訓練になっていること、これこそが消防団における操法大会の一番不要で無意味である事柄です。

火災現場で待機線は行いません。

北朝鮮のマスゲームのような完全にシンクロした動きを練習するためだけに週に何回も練習する必要はありません。

あくまでも操法訓練は消防団員として安全かつ迅速に消火をするための訓練であって田舎の大人の運動会を行うためのものではないのです。

選手しか訓練をしていない点

操法訓練の悪いところは「選手」しか訓練をしていないところです。

これは地域によって異なるかもしれませんが、大抵の消防団においてはその年に出場する選手のみしか操法訓練を行わないところがほとんどでしょう。

このため機関員(4番)をやれる人が限られており、実際の火災現場で水を出せる人がくるまで消防車から放水ができないなんて分団も多くあるのではないでしょうか。

数人の選手を育てるトップダウン・アプローチが機能しているとは言い難い状況にあります。

それよりも全ての団員がある程度の訓練ができるようなボトムアップ・アプローチを今後は志向していくべきでしょう。

総評:「操法訓練」は必要だが「操法大会」は不要である「操法大会」が「訓練」の邪魔をしている

時代遅れではあるものの操法訓練自体を廃止すべきであると私は思いません。

しかしながら、「操法大会」というものが操法訓練を歪めていると思います。

操法大会のための訓練、操法大会のためだけの操法に意味はありません。

実際の災害に即した訓練・効率の良い訓練を行っていかない限り、消防団員の増加は決して実現しないでしょう。

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筆者について
杉浦かおる
杉浦かおる
サラリーマン、兼業ブロガー
祖父から譲り受けた築50年の一軒家をちょこちょこ改造しています。
趣味はバイクとカメラと文章を書くこと
複数のブログを運営しています
7年務めた消防団を退団しました
読んだ人が少し役に立てるような記事を心がけてブログを書いています。
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